【ゲド戦記】挿入歌「テルーの唄」歌詞の意味は?冒頭の詩についても

ネタバレする内容が含まれておりますので、ご注意ください。

『ゲド戦記』は、2006年に公開された宮崎吾郎監督の処女作です。

その深いテーマや複雑なストーリーが話題となりました。

 

特に、映画の中で印象的な挿入歌「テルーの唄」は、物語のテーマを象徴する重要なシーンで使われています。

理解を深めるために有効なのが、映画の中の曲を紐解くこと!

また、冒頭の詩について、理解を深めることも重要!

 

挿入歌「テルーの唄」は、監督自らが作詞した重要なシーンの挿入歌です。

■作詞
宮崎吾朗

■作曲
谷山浩子

■編曲
寺嶋民哉

■歌い手
手嶌葵

 

この曲の歌詞には深い意味が込められています。

この記事では、

  • 「テルーの唄」の歌詞について深く掘り下げ、その背後にあるメッセージ
  • 冒頭の詩の意味

について、考察していきます。

 

ゲド戦記を見ていて感じた直感と調査した内容を踏まえて、考察記事にしています。

 

ストーリーを思い出しながら、楽しんで読んでいただけると幸いです。
目次

【ゲド戦記】挿入歌「テルーの唄」歌詞の意味は?

夕闇迫る雲の上 いつも一羽で飛んでいる
鷹はきっと悲しかろう
音も途絶えた風の中 空を掴んだその翼
休めることはできなくて

心を何にたとえよう 鷹のようなこの心
心を何にたとえよう 空を舞うよな悲しさを

雨のそぼ降る岩陰に いつも小さく咲いている
花はきっと切なかろう
色も霞んだ雨の中 薄桃色の花びらを
愛でてくれる手もなくて

心を何にたとえよう 花のようなこの心
心を何にたとえよう 雨に打たれる切なさを

人影絶えた野の道を 私とともに歩んでる
あなたもきっと寂しかろう
虫の囁く草原を ともに道行く人だけど
絶えて物言うこともなく

心を何にたとえよう 一人道行くこの心
心を何にたとえよう 一人ぼっちの寂しさを

「テルーの唄」の歌詞の深い意味

彼女は母親から虐待を受け、心に深い傷を抱えており、周囲とのつながりを持つことができません。

そんなテルーの心情が歌詞に反映されています。

 

この歌の中で、彼女は自分の心を「鷹」や「花」にたとえ、孤独と葛藤の中で苦しんでいる様子を表現しています。

 

この歌を聴いてイメージしたのは【火山旅】という中国の易の言葉。

火山旅(かざんりょ)の意味はこちら

旅人が味わうような、根無し草(安定したものがない)のような寂しさがある。

心細さがある など

 

母親に大事にされず捨てられ、テナーにお世話になっている立場。

人に心を開くこともできない自分を嫌に思うこともあったかもしれません。

孤独感や寂しさ、葛藤が尽きない日々を過ごしていたと思います。

 

「テルー」以外の登場人物の心境も表している?

「テルーの唄」の歌詞に出てくる「鷹」や「花」は、他のキャラクターの心境をも反映していると感じます。

アレンの不安・テナーの過去の悲しみ・ハイタカの孤独が、この歌を通じて表現されている可能性があります。

 

アレン

精神不安定さから父を殺してしまった罪悪感や孤独感。

 

ハイタカ

一人で世界に均衡を取り戻す旅に出ていたハイタカ。

それこそ、【火山旅】の心境があったはず。

 

テナー

テナーも、壮絶な過去があったようですね。

終盤、牢獄に閉じ込められたときのセリフ、「こんな所にいると墓所を思い出す」と。

 

ストーリの最後は、4人で良い表情で食事をしていましたね。
孤独感を知る4人だからこそ、絆が生まれた喜びを感じることができます。
そこに価値を際立たす均衡が生まれたのですね。

 

テルーの唄は、萩原朔太郎の「こころ」という詩から着想を得て、監督自身が作詞した曲です。

萩原朔太郎の「こころ」はこちら

こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。

 

この「こころ」には、鷹が登場していません。

あえて、監督が歌詞に「鷹」を挿入した理由として、ハイタカのことを歌っているということもあったのではないでしょうか。

強く頼もしいハイタカの心の中にも、孤独感があったことは容易に想像できます。

 

ゲド戦記のテーマの1つ「命」を歌っている一面もある

テルーの発した「命を大切にしない奴なんか大嫌いだ」というストレートな表現。

頭をフル回転させないとついて行けなくなるゲド戦記の展開。

この名言だけは、ド・ストレートで、違和感を感じたほどでした。

 

ゲド戦記の中で、監督が一番伝えたいことだったのではないでしょうか。

テルーの唄の中で、孤独で寂しい表現として使われた「鷹」「花」「一人野道を歩く様子」。

小さな命でも、気付かれない命でも、そこにある命を大切にしてほしいという願いが込められているようにも感じました。

【ゲド戦記】冒頭の詩について

ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなかれ
飛翔せるタカの虚空にこそ輝ける如くに

エアの創造

 

対局的なものを見ることで、価値が実感できるという内容を表現している詩ですね。

  • ことばと沈黙
  • 光と闇
  • 生と死
  • 高く飛ぶ鷹は小さく見えるけど輝いている

 

ハイタカが求めていた均衡!

バランスが保たれることが重要であるというメッセージが込められていると思います。

 

テナーの唄のような心境があるからこそ、絆や存在を大切に思うことができるんですよね。

満たされて、恵まれているよりも、不自由さを知っているからこそ感謝できるものですからね。

ジブリ【ゲド戦記】について

監督 宮崎吾朗
原案 「シュナの旅」宮崎駿
原作 ゲド戦記(アーシュラ・K・ル=グウィン)
製作 鈴木敏夫
主題歌 時の歌(手嶌葵)
キャスト
アレン(レバンネン) 岡田准一
テルー(テナヌー) 手嶌葵
ハイタカ(ゲド) 菅原文太
テナー 風吹ジュン

 

原作のゲド戦記は、全6巻になりますが、ジブリのゲド戦記では主に3巻を使われています。

ですが、原案が「シュナの旅」ということで、内容が盛りだくさん!

2つのストーリーを掛け合わせているのですね。

それを2時間弱にまとめた作品になるのですから、想像力も必要になってしまうのかもしれません。

 

ゲド戦記から感じ取ったメッセージはこちら

  • 命と向き合いを大切にすること
  • 均衡の大切さ(孤独があるから絆に喜びが感じられる)
  • 自分らしさを大切にすること

 

自分らしさについては、アレンが自分の心と向き合い、剣が抜けるように成長しました。

自分らしさを受容して、過去を乗り越える様子が重要なシーンの1つです。

 

まとめ

「テルーの唄」は、テルーの心情が中心に描かれています。

ですが、それだけではなく、映画全体のテーマや他のキャラクターの感情も同時に表現されたと思います。

 

歌詞だけではなく、切ないメロディーも映画のテーマをより強く印象づける役割を果たしているとも感じました。

もう一度、映画を観る際には、ぜひその歌詞の意味を噛みしめながら、テルーの心情に寄り添ってみてください。

また、冒頭の詩を念頭にストーリーを感じてみてください。

 

【ゲド戦記】挿入歌の「テルーの唄」歌詞の意味と冒頭の詩が気になる方のお役に立てたら幸いです。

 

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